三つ蝶
TOP ごあいさつ プロフィール 林流について 近況報告
今後の活動 舞姿 お稽古教室 ワークショップ 林流 こどもをどり塾
啓二の会 お問い合わせ 更新履歴 メディア ブログ

新聞・雑誌 掲載記事


(平成22年4月5日、京都・南座)
春風物語 恋の呂昇
藤山直美初の芸道物に挑戦

 4月の京都・南座は藤山直美主演の「春風物語恋の呂昇」 (花登筺原作、齊藤雅文脚本・演出)。明治時代に人気を博した娘義太夫、豊竹呂昇の修業と恋を描く。直美初の本格的な芸道物。直美らしく暗くならないで、明るさのある芸道物になった。
 新派の水谷八重子が初演時(1972年、当時良重)に呂昇を演じて以来、襲名披露にも選んだ芝居。今回は原作をかなり改定した。 御霊文楽座の楽屋口で呂昇は雪の地面に正座して越路太夫(林啓二)の義太夫を聞く。芸道精進の姿を描く花登らしい場面。しかし人形遣いの玉二郎(坂東薪車)と出会い、途中で義太夫を聞かないでしまう。越路太夫役の啓二は風格を出した。
 遊び好きの元夫、新吉(上杉祥三)に復縁を迫られるが、断る呂昇。上杉が自分勝手で、ちょっと嫌みな男を好演。夢の場は、玉二郎の遣う櫓のお七の人形に呂昇がなって、人形ぶりを見せる。新吉を殴ったり、直美が笑わせる場。玉二郎とともに一瞬で衣装を変えて「蝶の道行」も踊ってみせるサービースぶりだ。
 真打ちとなった呂昇は、先輩の東女(高橋よし子)らからいじめられる。東延(小山典子)が三味線の糸に傷を付けたため、呂昇は舞台で糸を切り、演奏を中止。師匠の呂太夫(小島秀哉)から叱責されて破門になる。
 一方、別れて住む娘お糸(北村美優、坪内壽音のダブルキャスト)は、呂昇が嫁に行くと聞いて心配してやってくる。そこで呂昇は玉二郎と別れる決心をする。この場面は母子の情でホロリとさせ、深みも与えた。
 女も恋も捨て「命をかけて義太夫と道行や」と桜散る中、泣き笑いで幕。直美らしい、将来への明るさを見せた。薪車は二枚目役を熱演。屋台のうどん屋・文吉の小島慶四郎、ひいき客・糸清の入川保則らがベテランの味で見せる。お滝は大原ゆう。呂之助は西川忠志。25日まで。
「宮辻政夫」

人権のひろばNo.73掲載記事
『中将姫誓願桜』
春風物語「恋の呂昇(ろしょう)」
メディアページに戻る